人間とウェブの未来

「ウェブの歴史は人類の歴史の繰り返し」という観点から色々勉強しています。

高速にリモートホストのポートがListenしているかを調べる

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以下のエントリは一部誤認が含まれていたので、上記エントリにその旨をまとめましたので御覧ください。


とある事情でミドルウェア上から高速にリモートホストのポートのListenチェックをしたくなりました。ローカルホストのポートであれば、/procやnetlinkなどを使って素早くチェックする方法がありますが、今回は対象がリモートホストなのでソケットでなんとかする必要があります。

そこで、誰もがまず思いつくのは、connect()システムコールによってリモートホストのポートに接続しにいって、connectできればOK、できなければNGと判定する方法があり得るでしょう。(高負荷時に接続できないパターンはListenしていないと判定してよい)

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自分のスタイルを作り上げること

小中高と自分のいた環境には、当時は悔しくて言えなかったけど、勉強についてはもうなんというか圧倒的な才能の差としか言えないような人達が沢山いた。

一緒に同じことをやっていても何もかもが速いし、理解力、そこから出す結果もすごかった。自分が楽しいと思えたことでも、多少の差は埋まってもその圧倒的差を埋めることは到底不可能に感じた。その頃から、ああ、こんなにも違う人達がいるのかをというを日々実感していた気がする。

だから今の僕は、ハッキリ言ってそういう意味で才能は無いだろう。いたって普通だろうという自覚はある。あの時の彼らが自分と同じように今ここにいて、同じ内容をやっていたら到底かなわないだろうと思う。

だから、僕がやれることはたった一つしかないと思っている。それは、自分がやると決めたことをとにかく継続的にやっていく、ただそれだけなのだ。周りを気にせず、一つのことを諦めずやり続け、そこから寄り道することがあったとしても全力で継続的に寄り道する。すると、玉ねぎの形のようなイメージで、下の芯からはじめた様々な寄り道が膨らみながら、芯の先でまた繋がり大きな実となる時が来る。芯が通ったその実がもたらす価値は線の繋がりとは比べ物にならないほどに自分に進化をもたらす。

人が持つ時間は一握りだ。だから僕は寄り道も含めて、やろうと決めたことをとにかく継続的にやり続けることに時間を使い続けるしかない。そうすると、そうやって思うがままに取り組んできたことが一つぐらいは実(身)になるかもしれない。それが自分だけのスタイル、自分だけの才能を作り上げることにもなるのだろう。

好きなことをして生きていくこと

実はとても難しいことなのである。

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上記エントリで述べた通り、僕は結局コードを書き、コンピュータサイエンスを学び、フィードバックを頂きながら試行錯誤してOSSを作り続けることが好きで楽しいからずっと続けられているといった。でもそれは決して、好きなことだから楽に人生を過ごしてこれたというわけではない。好きなことだから仕事が楽であるわけでもない。

好きなことをして生きていくために、僕は大学の時から自分のキャリアを明確に定め、企業に就職した後に、そこで得た社内の評価、そして、毎月の給料を全て捨て、大学院の博士課程に飛び込んだ。その上、最初は審査で不合格になっている。なぜそれができたのか。それは、好きなことをして生きていきたいからだ。以前、その人生をキャリア・キーノートとしてまとめた。

技術者と研究者の狭間で得たたったひとつの教訓 2016 / career-keynote-2016 // Speaker Deck

好きなことをして生きていく。それは言いかえれば、自分の好きなことによって与える自分以外への影響とその価値を最大化することである。好きなことをすることで、身近な人が幸せになり、お世話になっている人々、そして、コミュニティや組織が幸せになり、自分自身もそこで得られる報酬によって生かされている。好きなことをして生きていくこととは、試行錯誤しながら、その道を模索し、学び、行動し続けることにある。時には、好きなことをするために、好きなこと以上に別のことをやらなければいけない時もあるだろう。でも、好きであるからこそ、情熱を持って行動できるであろうし、好きなことをして生きていく道を見つけられるかもしれないということを以前まとめた。

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好きなことをして生きていくことはとても難しいと冒頭で言った。しかし、もし、幸運にも人生の中でその道を見つけることができたのであれば、自然と自分の生産性を最大化可能な生活が得られ、最後にはきっと幸せが待っているだろうと思う。是非ともそういう人達が増えることを願う。自分は何をやりたいのか、それを忘れてはいけない。

2017年の抱負 - 僕がOSSを作り続ける理由

確かに、自分が欲しいもの・他者が必要とするものを作りたい、とか、承認欲求を満たしたい、エンジニア・研究者のアピールとして、とかあるんだけど、それらはやっぱりあくまで付加的な理由であって、僕にとっての一番の理由であり根源的な理由は、「面白いから」である。ただそれだけ。誰にも邪魔されない唯一の感情でもある。

コードを書いたり、コードを書くために腕組んで考えたり、他者からのフィードバックを経て試行錯誤しながらOSSを育てていったりすることがとにかく面白いと感じるし、その感覚がこれまでずっと長い間続いている。だからこそ、夜遅くなっても、眠くてしんどくても、なかなかすぐには手を止められないし、明日の用事と向き合いながら、あと少し、4時間寝たらいける、あと少し、と引き伸ばし続け、いずれ朝を迎えてしまう。きっと僕は死ぬまでOSSを書き続けるだろうと思う。

コードを書くことは、きっかけは業務だったり、自分の思いつきだったりするけれど、コードを書いているうちにふと気づくと、書いている行為そのものを楽しんでいる。徐々に形になって動きそうな雰囲気が出てきて、やがて不完全ながら動く、そしてエラーを取り除いて初めて想定通り動く、その過程がとにかく楽しい。それを公開して、フィードバックを受けてまたコードを書いて同じ過程を経ていくのも同様に楽しい。面白い。仮に他の諸々の付加的な理由が失われたとしても、面白いと思える感情は恐らく相当の時間変わらないだろうから、きっと僕にとってのゲームと同様、ずっとやり続けられるだろうと思っている。

学ぶこと、それをもとにコードを書いて思いを形にすること、それらはとにかく僕にとって最高の娯楽である。

2016年振り返り - エンジニア・研究者はどうあるべきかと新生ペパボ福岡基盤チームの紹介

今年は2015年4月にペパボに入社して、1年目が終わり、2年目に突入する年でした。

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その中で、以下のように今年の抱負を書きました。

一方で、技術力の向上について明らかに努力を怠っていた面については反省し、技術力不足を悔しいと思う事に対して真剣に取り組みたいと思います。悔しくてもなんとなく放置してしまう、そうなってしまうと僕のようなエンジニアは絶対にダメになってしまいます。この悔しさこそが、自分自身を変える大きな力になると信じているからです。

去年の2015年は上記の2つのエントリで振り返り、色々あったけど結局技術的成長の努力が足りなかった、と締めくくりました。そして、今年はどうだったかというとやっぱり努力が足りない1年であったと言わざるを得ません。年末になると、必ず後悔と悔しさが湧き上がってきます。

エンジニアリング以外には沢山の取り組みを行いましたが、それでも僕はエンジニアであり研究者でもあります。他に沢山のことをやっているから、と自分に言い訳し、後悔や悔しさをごまかす程度の自己管理はできる年齢になってしまいましたが、そんな大人にはなりたくないと子供の頃からずっと思ってきたし、後悔や悔しさという感情にはちゃんと向き合っていくというのが、僕自分を継続的に成長させる唯一の方法だと、今も思っています。

ということで、いきなり感情溢れ出す文章を書いてしまいましたが、それでも良い事は沢山ありましたので色々振り返ってみたいと思います。

  • 二男がうまれた
  • 年間22回の口頭発表と8回の取材
  • 社外コミュニティとの連携強化
  • ペパボ研究所創設
  • 新生福岡基盤チーム
  • まとめ
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複数のmrubyインタプリタ間でデータを共有して使う方法

本記事は、mruby advent calendar 2016の23日目の記事です。22日は、ore_publicさんのruby製のコマンドラインツールをmrubyに置き換えるでした。

mrubyインタプリタ、mrubyの実装的にはmrb_state構造体なのですが、一つのプロセスの中で複数mrb_stateを作らざるを得ない場合に、複数のmrb_state間でデータを共有して使いたい場合がありませんか?ふむふむなるほど、やはり皆さん共有したいようですね。

これまでは、mrb_state間でデータをコピーする際にドキュメントに書かれていない知識を使って頑張ってやる必要があったのですが、それを簡単にできるように、mrubyのC APIを拡張するmrbgemのmruby-pointerを作りました。

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エンジニア個人が自主的に成長するように促す - エンジニア組織の自律的成長

この記事は、Pepabo Managers Advent Calendar 2016の3日目の記事です。2日目は、弊社チーフエンジニアhsbtさんの「マネージャが仕事の仕組みを作る」でした。

僕自身は、エンジニア専門職の主席研究員兼シニア・プリンシパルエンジニアではありますが、特にペパボ福岡のエンジニア組織を現場でまとめる人間として、エンジニア組織を成長させる中で個々のエンジニアの成長をサポートしているという意味では、マネージメントに関する活動も兼ねております。

しばしば、インターネットサービスの高度化と複雑化の速度が早過ぎるため、グランドデザインができない、人が多過ぎても成立しない、少な過ぎても難しい、とういうような類のサービスを作り上げないといけない状況があります。その際に、厳密過ぎない役割を持たせ、それぞれが横断的にそれぞれのスタイルで、まるで、攻殻機動隊の世界におけるスタンドプレーから生じるチームワーク、そして、非効率性から人を育て、最大限の効率を生み出す組織が求められることが今後増えてくるだろうと予想しています。

そこで、僕は最近「エンジニア組織が自律的に成長するように促す」というテーマを元に行動しており、その中で常に頭の中で意識している事は、

  1. エンジニア個人が自主的に成長するように促す
  2. エンジニアが自分の技術を客観的に評価できるようにする
  3. エンジニアが自分の技術に誇りを持てるようにする

です。

今日はこの3つの内、1つ目の「エンジニア個人が自主的に成長するように促す」について詳しくお話したいと思います。今後気分が高まれば、2つ目、3つ目についても別エントリで言及します。

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