人間とウェブの未来

「ウェブの歴史は人類の歴史の繰り返し」という観点から色々勉強しています。

エンジニアが技術力を高めるもう一つの理由 - はてな・ペパボ技術大会を経て

はてなさんと共催で行った「はてな・ペパボ技術大会@京都」と「ペパボ・はてな技術大会@福岡」が無事終わりました。

http://developer.hatenastaff.com/entry/2016/06/21/131302

ペパボ社内では、はてなサービスとその技術力の高さのファンが多く、はてなさんと一緒にこんな技術イベントできるなんて!!と喜んでいる人たちも沢山いましたし、僕自身もご一緒できてとても嬉しかったです。技術大会後の打ち上げも含めて、すごく盛り上がったしとにかく最高でめちゃくちゃ楽しかったです。

id:y_uukiさんをはじめ、はてなさんの若手エンジニアのスキルは圧倒的に高く、id:ichirin2501さん、id:masayoshiさん、id:taketo957さん、そして、技術大会で諸々沢山調整してくださった、id:wtatsuruさんとid:tomomiiさん、座談会をモデレータをやってくださったid:stanakaさんありがとうございました!


僕は約1年前にペパボに入社しました。入社後に社内で活躍するエンジニアを見ながら、これだけレベルの高いエンジニアなのになぜあんまり知られていないのか、などと思った事を今でも思い出します。でもそれは、今となっては遠い昔のようにも感じるわけです。

特に今回はてなさんと技術大会やりましょうとなった時に、技術力の高いはてなさんとやる中で、内容的に盛り上げるにはどうすれば良いかという事をすごく考えました。しかも今回はインフラ技術ということで、そのレイヤーで面白い話をできるのは誰になるだろうかと。特に今の福岡のインフラエンジニアは最高潮に忙しい時期でもあり、そんな中この話を活かすにはどうすれば良いのかと考え、2人のWebアプリケーションエンジニアに声をかけたのです。それが、 id:monochromeganeid:pyamaxでした。

僕が入社した時に、既に2人は社内でも圧倒的な存在感と技術力を持っていました。でも、それに見合うほど社外でその働きぶりや技術力が知られているかというと、そうでもないように感じたのが当時の正直な印象でした。きっと彼らのスキルがあれば、ほっといても勝手に圧倒的技術力を身につけ、あっという間に知られるようになるだろうことは感じていましたが、でも僕としては、こんなすごい人達はもっとみんなにもっと早く知ってもらいたい、もっと業界に影響を与えて欲しいと強く思ったのを覚えています。

そして結果として、Webアプリケーションエンジニアでありながら、インフラエンジニアとしても十分すぎるほどレベルの高い発表をされていたと思います。また、その内容に対する社外の反応もとても良い物ばかりでした。

僕は、全くアウトプットをしない会社で仕事をして、その成果によって大学院に入り直し、研究をしながら積極的にアウトプットすることで、様々な情報が集まったり優秀な人たちと出会って、議論やレビューを行うことによって技術的に成長できたと思っています。また、僕自身を知ってもらうために、沢山の有名な人にお世話になりながら僕の技術やブログを拡散していただいて、今の自分があると思っています。自分ひとりの努力では到底知ってもらう事などできなかったでしょう。それぐらい、技術を習得する事同様、自分を知ってもらうことは大変困難なことでした。

だからこそ、僕自身はその恩返しではないのですが、僕の技術や知名度(まだまだだけど)を踏み台にしてもらって、技術力はあるけれどまたあまり知られていない技術者にはどんどん有名になっていって欲しいと純粋に思っています。それが、優秀なエンジニアの成長を更に加速させ、踏み台から生じるそのエンジニアリングの連鎖はさらに押し上げられ、そこに繋がるすべてのエンジニアの技術力がより高まっていくと信じているからです。

しかし、僕がこう思っているのは、本当に技術力の視点だけなのだろうか、と最近自問自答していました。やろうとしていることは結構大変で、アウトプットすることを推奨しても理解されず反発されることもあります。でも、僕は諦めずにそういう人たちの話をちゃんと聞いて、出来る限り自分の思いと相手の思いの落とし所を見つける作業と信頼関係に成りうる方法を取ろうとしています。なぜ僕は人のためにそこまでやれるのだろうか、と思っていましたし、自分でもその理由を言語化できていませんでした。でも心からやってあげたいと思っていたのです。なぜ諦めずに僕は頑張れるのかと。

それが、今回の技術大会を通して、とある光景を見る中で、自分がそこまでやれる理由をふと理解できたのでした。

本来、僕らの持っているエンジニアリングはその所属する企業でユーザへの価値を最大化するために用いられる場合が多いでしょうし、OSSなどにおいてはそれがもう少し広いコミュニティにおいての価値最大化に繋がるとも言えるでしょう。ですが、エンジニアリングってそれだけじゃないと思うようになりました。技術を高め、これまでにわからなかった事を知り、それを持って困難を解決したり、新たな価値を作りだせること、そして、それらがエンジニアリングの信頼の連鎖の中で成長する過程やコミュニケーションは、そもそもとても面白くて楽しいことなのです。

技術力を高め、アウトプットし、他のエンジニアと共に成長してくことが純粋に楽しい体験であり、こんなにも技術が開かれた世界に望めば簡単に飛び込む事ができ、ずっとその連鎖と流れに身を置き続けていきたいからこそ、それを自分の周りのエンジニアにも体験して欲しいと願っていることを今更ながらに実感しました。

一昨日のペパボ・はてな技術大会で、id:monochromeganeid:pyamaxがはてなさんやその他の優秀な社外のエンジニアと技術論で楽しそうに盛り上がっていたり、その技術を褒められていたり、大きな声で笑っているのを見て、ああ、これが僕の見たかった光景だな、と思えました。これがエンジニアが技術力を高めるもう一つの理由になりうるのだなと。これが僕を突き動かす理由なのだなと。

技術力を高めてアウトプットし、企業の枠を超えて情報と仲間を得て技術力を更に高め、その連鎖を後に続くエンジニアにつなげて底上げしていく過程は、こんなにも刺激的で楽しくハッピーなことなのだと実感できました。そして、この連鎖をとだえさす事なく、さらに技術力を高めるための学習やアウトプットは新たな連鎖を作り、その行為そのものが周りに影響をあたえ、自分の人生に対する考え方や生き方そのものを幸せに変えうるものなのだとも思えました。

エンジニアをやっていてよかった、エンジニアは楽しい、今なら自信を持って自分の言葉で言えそうです。


最後に僕の1番好きな映画のグッドウィルハンティングの好きな場面のひとつを載せておきます。


君は子供だ 自分の言っていることの意味すら分かってやしない

美術について問えば君は本から得た知識を並べ立てるだろう ミケランジェロも、知り尽くしてる 数々の偉業、時の支配者や法王との軋轢、性的嗜好から作品まで だか君にシスティナ礼拝堂の匂いは語れない そこに立ってあの美しい天井を見上げたことは無い

現実に 女について聞いたら 愛読書からの抜粋を語るだろうな 数少ない実体験を織り交ぜて しかし女の横で目を覚ました朝の幸福感なんて想像もつかんだろ

強情で 戦争について聞いたら多分シェイクスピアをぶつけてくるな 「友よ侵略者に立ち向かえ」 でも君は知らん、 この腕の中で息絶えた親友が 心に焼き付けていったあの縋るような目を

愛について問うたらソネットを引用するか? でも一人の女に骨抜きになったことはないだろ 見つめられるだけで卒倒しそうなくらい神様が自分に与えてくれた天使だと思って地獄から救い出されて、自分も彼女の天使になる 愛の力で彼女を引き止めようと病晩乗越えて私は病室で2ヶ月間妻の手を握り締めて座ったまま寝た 医者も面会時間なんて決まりが私には通じないのを知って諦めた 本当に失うってこと、それは自分を捨てて誰かを愛した者にしか分からん そこまで深く人を愛したことがあるか?

君を見ていると知性と自信を持った男には見えない 自惚れだけ強いただの臆病な餓鬼だ 君が天才であることは誰も否定しない 君の深さを推し量る事は誰も出来ない だが君は一枚の絵を見て全て知ったような態度で私の人生を引き裂いた

君は孤児だったね どれ程困難な人生か私に分かると思うか? 君の気持ちや君という人間が 「オリバー・ツイスト」を読んでいればそれは君を要約するものか? 私はね、ばかげた妄想だと思ってる、 今更君から学ぶことは無いしそんな小説を読む気もない 君が自分自身の言葉で話さない限り それなら興味をそそられ、耳を傾ける

でも君は喋りたくないんだ 自分が何を言うか怖いんだ 君次第だな

ref: http://s.ameblo.jp/will3104/entry-11916962818.html