人間とウェブの未来

「ウェブの歴史は人類の歴史の繰り返し」という観点から色々勉強しています。

ブログからXコミュニティに移行してみます(また戻るかも)

人間とウェブの未来の購読者の皆様、お久しぶりです。まつもとりーでございます。 今購読者見ると800人近くいらっしゃったので、大変嬉しく恐縮と共に、ブログみたいな長文を書く時の執筆の流れと自分の今のインターネット上への文書を残すスタイルが少し合…

エンジニアや研究者からマネージャーや経営者になる時の不安について

自分は元々とにかく技術志向のエンジニアであり研究者であった。とにかくコードを書いたり論文を書いたりすることが生き甲斐であった。 そんな自分が数年前に色々考えた結果、マネージャーや経営者の道を志すようになったのだが、その際によく聞かれることが…

家族やプライベートを犠牲にして仕事や実績を得ていたことから目を背けられなくなった件

新型コロナウィルスの影響によって、急激に働き方が変わってきた。コロナ禍の初期、大体1年目においては、まだタイトルのような「家族やプライベートを犠牲にして仕事や実績を得ていた」ことから目をそむけることができていたし、なんとなくモヤモヤしていた…

コロナ禍で自分の能動的行動が失われて気付いたこと

今週は夏休みなのですが、久々にコロナ禍の1年半を通して自分が色々考えたことをつらつらと書いてみようと思います。 コロナ禍になって最初の半年ぐらい、2020年の夏頃まではある程度これまで通り自分の研究を続けたり、毎日研究のコードを書いたりできてい…

プロセスのオーナ情報をTCPオプションヘッダに書き込むに至った背景とアプローチの補足

hb.matsumoto-r.jp 上記のリンクの昨日書いた記事のスコープや前提、及び、ユースケースがわかりにくかったので、以下にそれらをもう少し詳細に書こうと思います。コメントやアドバイスをすでに頂いた方はありがとうございます。 まず、この手法にいたった課…

新たにカーネルでTCPオプションヘッダに書き込んだ情報をTCPセッション確立時にユーザランドでどう取得すべきか

追記:2020-06-05 このエントリの背景が雑だったので以下に補足記事を書きました。先にこちらに目を通していただいた方が良いかもしれません。 https://hb.matsumoto-r.jp/entry/2020/06/05/110709 speakerdeck.com 今tcprivというソフトウェアを開発している…

論文のrejectという希望

ここ2、3年で目標としていた、IEEE Computer SocietyのFlagship Conferenceの一つとされているCOMPSAC 2020のメインシンポジウムに、ファーストオーサの論文がフルペーパーで採録されました。 送られてきたメールによると、今回のメインシンポジウムのフルペ…

クライアントプロセスのオーナ情報によるTCPを介した透過的な権限分離

研究アイデアや構想の公開 まつもとりースタイルとして、研究開発をしつつあいであがまとまってきたら公開しながらやっていくスタイルをとっていますので、国際会議などの延期に伴い、新しい研究をやり始めているのでそれをアイデアや構想ベースで公開します…

さくらインターネットに入社して1年が経ちました

本当にあった言う間に、2018年11月にさくらインターネットに入社してからちょうど1年が経ちました。 hb.matsumoto-r.jp 随分と活動が海外に広がり、異様に優秀な研究所のメンバーに刺激を受けて、毎日がとても楽しいですし、これからさらに楽しくなっていく…

非厳密計算で確率的に解釈するコンピューティングへの流れ

ここ数ヶ月、沢山の国際会議や自分の専門分野外のトップカンファレンスに採録されるような多種多様な研究発表を聞いていた。そんな中、自分の中で各発表に共通するコンピューティングの流れみたいなものが少し見えてきた気がするのでメモしておく。 機械学習…

ラストオーサーとしての国際会議投稿やジャーナル執筆のサポートについて

先日、アメリカのミルウォーキーで開催されたIEEE Computer SocietyのフラッグシップカンファレンスとされているCOMPSAC 2019に参加・登壇してきました。 ファーストオーサーの論文をメインシンポジウムのNCIWにショートペーパーとして1本、ラストオーサーと…

viを:wqや:q!、あるいはZZで終了するのとではどちらが効率的か

後ろの方に追記をいくつか書いているのでそちらも是非参照ください 今日さくらインターネット研究所の雑談タイムで、viの終了時には:wqや:q!とかで終了するよりもZZで終了すべき、という話題が出た。 ここで簡単に整理しておくと、 :wqはファイルを上書き保…

自分の研究開発に自信を持つためには

「松本さんは、自分の研究は良いものだと迷いなく自信を持って研究している」と言われることがある。しかし実は、僕は本来コンプレックスが非常に強く、自分の研究が学術で通用するなんて思えなくて、とにかく保険をかけた発言や言い訳めいたことを枕詞にし…

可用性を考慮したリアクティブなコンテナのスケジューリング手法

第四回Web System Architecture研究会@京都で発表してきましたので、その予稿とスライドを公開します。 収容ホストにいかに効率的かつ高速にコンテナをリアクティブにスケジューリングするかについて、今回はWordPress on mod_phpやRails、Djangoなどで実験…

現場の技術を知らずに研究するコンプレックスについて

僕は大学時代に研究を続けたかったのだけど、当時アルバイトとして働いていたレンタルサーバー会社の中の取り組みがとても高度に思えて、こういう状況を知らずに研究を続けるのは怖いと思って、大学院に行かずに就職した。そして、3年後になんとか大学院に再…

ユビキタスデータセンターOSの文脈におけるコンテナ実行環境の分類

前回のエントリでは,分散型データセンターOSの背景と概要について述べた. hb.matsumoto-r.jp 本エントリでは,さくらインターネット研究所としてのフォーカス領域に基づいて、分散型データセンターOSからさらに踏み込んだ、ユビキタスデータセンター(命名 …

分散型データセンターOSとリアクティブ性を持つコンテナ実行基盤技術のこれから

本エントリはさくらインターネットアドベントカレンダー2018の12月25日の記事です。メリークリスマス!!!!! 12月24日は、echizenya yotaさんの「さくらインターネット株式会社の田中邦裕社長からクリスマスプレゼントをもらう方法」でした。 ということ…

人生で自分が乗るべきたったひとつの電車

自分がこれまでの人生で、自分では予期できないけれど、そのおかげで人生が大きく変わり今の自分がある、そして今もなおその流れに乗り続けられている、そんな「たったひとつの乗るべき電車」とはなんだっただろうか。 今月で自分は35歳になるわけだが、なん…

「FastContainerをメール基盤へ適用 - 精緻に制御可能な恒常性のある高集積マルチアカウント型のメール基盤」の予稿を公開します

第3回 Web System Architecture 研究会で登壇してきました。その予稿とスライドを公開します。 今回も大変おもしろい発表ばかりで、発表15分議論15分という研究会ですが、大体議論が盛り上がって議論30分になったりしていました。各発表もそこからさらに洗練…

GMOペパボ株式会社を退職しました

本日、2018年9月28日が最終出社日でした。正式には10月末をもって、チーフエンジニアとして務めたGMOペパボ株式会社、また、主席研究員として務めたペパボ研究所を退職します。 現職には2015年4月に入社後、実際には入社前から関わりがあったため、それも含…

エンジニアでもある僕が国際会議で発表して思ったこと

2018年7月23日から5日間に渡って開催された、COMPSAC 2018(The 42nd IEEE International Conference on Computers, Software & Applications Staying Smarter in a Smarting World)において併設で開催されたADMNET 2018(The 6th IEEE International COMPS…

マルチプロセッサのタスクスケジューリングに基づいたWebシステムにおけるコンテナのハードウェアスケジューリングのシミュレーション構想

データフローグラフ(タスクの依存関係をグラフ化したもの。タスクは処理の特性等の違いもある)をいかに効率良くマルチコアCPUにタスクスケジューリングするかという研究がある。マルチプロセッサシステムのタスクの割り当てとスケジューリングはTASとも呼…

DevOpsの文脈でのDevelopment ResearchすなわちDevResについて

DevOpsについては多くが語られてきました。一方で、開発者と研究者の関係をDevOpsの文脈、いわゆる、Development ResearchすなわちDevResとしたときの関係性についてはあまり語られていません。これからの企業、ひいては、社会における開発者と研究者のあり…

ngx_mruby v2のHTTPクライアントをv1よりも最大90倍高速にした

写真のような感じでRubyKaigi2018で登壇し、RubyKaigiを経て、ようやくngx_mrubyのv2をリリースしました。基本的にv1と互換性がありますので、今後はv2を開発していくことになります。 github.com ngx_mruby v2の目玉機能としては、Rubyスクリプトからノンブ…

第二回 #wsa研 でHTTPリクエスト単位でコンテナを再配置する仮想化基盤の高速なスケジューリング手法について発表しました

第二回Web System Architecture研究会で、タイトルの内容について発表してきましたので、そのスライドと予稿を以下に公開します。 speakerdeck.com 英文タイトルは以下の通り。 Fast Scheduler for a Cloud Platform to Relocate Containers at Each HTTP Re…

OSレイヤでWebサーバが起動時に実行するシステムコールを監視し起動完了直前のプロセスをイメージ化する

今回は、Webサーバの実装に依存することなく、OSレイヤでWebサーバソフトウェアが起動時に実行するであろうシステムコールを監視して、そのタイミングでプロセスをイメージ化する方法(PoC)について紹介します。

もうできないと思えた時こそ大きな差をつけるチャンス

ある日、今年は研究開発活動を国際化していくぞ、と意気込んで出した国際会議のreject通知が届いた。そして、その内容も4人の査読者からフルボッコであり、特に英語がなっていないということをかなり強い言葉で指摘されていた。そんな通知をもらった僕は、か…

プログラミングにおける不安と学びのプロセス

僕の場合、実現したいことをコードで書けない時には、ひたすら似たコードを読んで理解して写して…を繰り返す。そのうちに手元に大量の自分のサンプルが溜まっていく。その繰り返しがパターンの細分化を促し、書けるコードの幅を広げていく。書けるコードを気…

GMOペパボ株式会社のチーフエンジニアに就任いたしました

2018年3月18日付でペパボのチーフエンジニアに就任しました。 ペパボのエンジニア職位制度におけるNo.1エンジニアとして、引き続きテクノロジーによってペパボのプロダクトを成長させていきます。 私はペパボ研究所の主席研究員でもありますので、基本的には…

HTTPリクエスト単位でmrubyのバイトコードをProcとFiberで包みなおして実行した場合の性能とv2について

2018年4月にngx_mrubyのノンブロッキングHTTPクライアントとノンブロッキングsleep相当のメソッドに対応させてngx_mruby v2.0.0をリリースするという目標を立てた— 松本 亮介 / まつもとりー (@matsumotory) 2018年2月13日 ngx_mrubyのv2の4月リリースに向け…